ニューズレター
NEWS LETTERJAASニューズレター 2023年1号
JAASニューズレター 2023年1号
発行:経営行動科学学会
編集:今井 裕紀・内藤 知加恵(ニューズレター・ホームページ担当理事)
発行日:2023年5月19日
このページではニューズレター2023年1号の一部を公表します。全体版は、マイページにログインし、「ダウンロード」からご覧ください(会員限定)。
学会誌『経営行動科学』オンライン投稿システム運用開始
オンライン投稿システム導入PJ担当:内藤 知加恵(麗澤大学)
学会誌『経営行動科学』では、2023年3月15日より、従来のメールでの論文投稿から、オンライン投稿システム(ScholarOne Manuscripts)を通じた投稿に切り替わりました。本システムの導入によって、これまでとは何が変わるのかを簡単にご紹介いたします。
まず、投稿者の方にとっては、ご自身の投稿論文が、審査プロセスのどの段階にあるのかをシステム上の画面から確認できるため、より安心して審査を受けていただけます。また、システム上ですべてのデータをやり取りするため、セキュリティが向上するほか、ファイル管理も容易になります。
審査をご担当いただくシニアエディターおよび査読者の先生方にとっては、上記に加え、審査プロセスの短縮化と効率化が期待されます。先生方が審査プロセスを進めていただくと、自動的に編集委員会に即時通知されるため、これまでのような編集委員会とのメールでのやり取りが不要になります。従来編集チームが行っていた原稿ファイルのPDF化も、自動で行われます。
また、システムの操作でトラブルがあった場合には、代理店にお問い合わせいただけるなど、サポート体制も整えています。詳しくは、Webサイト上の学会誌ページ(https://jaas-org.jp/paper)から、[投稿案内]および[FAQ(オンライン投稿システムについてのよくあるご質問)]をご確認ください。また、オンライン投稿マニュアルもあわせてご覧ください。そのほか、何かご不明な点やご不便がございましたら、編集委員会までお知らせください。皆様のご投稿を、心よりお待ちしております。
【投稿にあたってご注意いただきたい点】
形式不備や、最終的なPDFファイル(プルーフ)を念入りに確認せずに投稿されていると思われる投稿が多くなっています。このような場合、編集委員会からいったん差戻しをすることになり、通常よりも審査期間が長くかかってしまいます。最後に生成されるプルーフを必ずご確認いただき、投稿規程に沿った形式になっていることを投稿者ご自身でお確かめになってから、投稿されるようお願いいたします。
2022年度経営行動科学学会賞(JAASアワード)選考結果報告
経営行動科学学会 JAASアワード審査委員長(副会長)
開本浩矢(大阪大学)
この度、2022年度JAASアワード選考を慎重に行い、最終的に2著作をJAASアワードとして表彰することが決まりました。
2022年度の応募期間は、2022年10月26日~12月15日、応募の対象は2021年12月1日~2022年11月30日までに発表され、かつ経営行動科学学会員が著者となった論文、著書としています。応募期間中に自薦・他薦のあった著作・論文の総数は6件となり、その内訳は優秀研究賞(著書部門)2件、同賞(論文部門)2件、優秀事例賞2件となりました。
推薦された6作すべての選考にあたっては、各候補作に対して複数名の評価者による評価を行い、その結果をもって総合点として、受賞作を選出しました。
先述した通り、最終的には優秀研究賞(著書部門)として、中西善信先生による『公共調達の組織論:正統性とアカウンタビリティの罠』千倉書房(2022年)と優秀事例賞として、鈴木 智之先生による『就職選抜論 -人材を選ぶ・採る科学の最前線』中央経済社(2022年)が選ばれることとなりました。一方、優秀研究賞(論文部門)では、残念ながら該当なしとなりました。
中西善信先生の著作は、行政機関の公共調達のメカニズムを、アカウンタビリティと正当性という観点から検証・考察した著作です。通常外部からは明らかになりづらい行政機関とその行動メカニズムを明らかにしたという点で本書は独自性の高い研究だといえます。また、本書では、経営学と行政学両分野の理論や視点から切り込み、理論的な貢献をしている点や経営行動科学的研究手法の応用し、質的・量的データを駆使して検証を試みている点が高く評価されました。
鈴木智之先生の著作は、非常に緻密な分析によって事例企業における就職選抜(就職試験)について科学的な解明を試みており、実践的な含意も多分に含まれる優れた著作であり、事例賞としての表彰に値すると評価されました。また、経験や勘などが優先されがちな新卒採用の現場を定量的に分析することで、新たな選抜方法を提案、その効果検証を行うといった本書の研究スタイルは実践的意義が非常に高いことも評価されました。
推薦され、審査候補となったものの今回受賞を逃した候補作の中にも、あと一歩のところで選出に至らなかった著作・論文もいくつか見られました。選出にあたり評価者の評価がばらついたり、相対評価となることから、審査委員長としても大いに悩みましたが、今回は致し方なく選外とさせていただきました。
なお、JAASアワードの審査をご担当いただきました先生方には大変お世話になりました。改めてお礼申し上げます。また、応募期間に自薦・他薦をいただいた会員諸氏にも、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。皆様の推薦があってこそのJAASアワードであり、今回の受賞作が会員にとっても広く社会にとっても有益な示唆を与え、経営行動科学の発展に寄与することを願っています。
2022年度大学院生・若手研究者(ECR)向けトレーニングコース「研究における概念・理論の使い方を学ぶ」開催報告
ワークショップ担当 篠原 さやか(愛知淑徳大学)
【開催日程】
第1回目2022年8月20日(土)、第2回目9月24日(土)、第3回目12月24日(土) 14:00~16:00
第4回目2023年3月11日(土) 13:00~16:00
【開催形式】
オンライン(Zoom)
【講師】
経営行動科学学会ECRプロジェクト
藤本哲史(同志社大学)、大平剛士(大阪商業大学)、篠原さやか(愛知淑徳大学)
【主な対象】
大学院生(博士後期課程、博士後期課程に進学を検討している博士前期課程在籍)
若手研究者(ポスドク、助手、助教、講師)など
【参加者数】
9名
大学院生・若手研究者(Early Career Researchers:ECR)が経営学や心理学、社会学等の研究を進める上で習得する必要がある概念や理論の使い方の基礎を学ぶトレーニングコース(全4回)を開催しました。第1回目では、「研究とは」、「概念とは」、「理論とは」、「投稿論文の書き方」を、第2回目では、「概念図の書き方」、「リサーチクエスチョン」、「理論の援用」を、第3回目では、「理論の援用の例」を解説しました。上記の講義に加えて、参加者には毎回、課題に取り組んでいただきました。第3回目は、参加者自身の研究におけるリサーチクエスチョンや概念図、理論の援用を課題として事前にまとめていただき、講師3名からのコメントをお伝えするとともに質疑応答を行いました。最終回の第4回目では、参加者の研究の(1)問題意識、(2)理論的枠組みと仮説、(3)方法について、JAAS年次大会の発表原稿フォーマットを用いて事前にまとめていただき、当日はその内容を一人ずつ発表し、各発表に対して講師3名と参加者がコメントと質問をしました。なお、最終回には、これまでに開催したECRトレーニングコースの修了生も参加してくださいました。
部会報告
中部部会
中部部会長 安藤 史江(南山大学)
2023年3月18日(土)に、名古屋大学において、組織学会中部支部会との共催で、中部部会を開催いたしました。
まず神戸学院大学の大塚英美先生から「インクルージョンの促進・阻害要因とキャリアの見通し:管理職前従業員を対象とした実証研究」というテーマでご発表いただきました。インタビュー調査と質問票調査に基づき、ともに働くメンバーの性格やスキルの理解や、気持ちや要望を伝える機会提供の重要性をご報告されました。これらの日本型人事管理との関係についても論じられ、興味深いご発表でした。
次に、早稲田大学の堀江徹先生から「アジアにおける日本企業の人気と日本企業の課題」というテーマでご発表いただきました。定点観測データに基づき、日本企業のプレゼンスが大きく低下していること、言語や閉鎖的な雰囲気や限定的な昇進がそのハードルとなっていることが明らかにされ、それに基づく今後の日本企業への提言が行われました。いかにこの状況を改善すべきか大いに議論が盛り上がりました。
最後に、名古屋大学の犬塚篤先生から「「変化の実感のなさ」が組織変革に及ぼす効果:自動車部品メーカーを対象に」というテーマでご発表いただきました。組織変革の原動力として強みと脅威の認識があることを明らかにする一方で、変化の実感のなさによって、それらの効果が弱まってしまうことがさまざまなアプローチによって示されました。データ捌きの巧みさに唸らされました。
今回は久しぶりの対面開催にも関わらず、中部はもとより、関東・関西から多数のご参加があり、和やかな雰囲気の中、懇親会も執り行われました。組織学会中部支部長である名古屋大学の犬塚先生にはご自身のご発表も含め、大変お世話になりました。ご発表いただきました先生方、ご参加くださった皆様にも、この場をお借りして心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
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