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2020年度大学院生・若手研究者(ECR)向けトレーニングコース開催報告

2020年度大学院生・若手研究者(ECR)向けトレーニングコース
「研究における概念・理論の使い方を学ぶ」開催報告


【開催日程】
第1回目2020年10月3日(土)、第2回目10月24日(土)、第3回目11月21日(土)、第4回目12月12日(土) 各回14:00~16:00(約2時間)

【開催形式】
オンライン(Zoom)

【講師】
経営行動科学学会ECRプロジェクト
藤本哲史(同志社大学)、大平剛士(大阪商業大学)

【主な対象】
大学院生(博士後期課程、博士後期課程に進学を検討している博士前期課程在籍)
若手研究者(ポスドク、助手、助教、講師)など

【参加者数】
16名

大学院生・若手研究者(Early Career Researchers:ECR)が経営学や心理学、社会学等の研究を進める上で習得する必要がある研究のやり方や概念・理論の使い方の基礎を学ぶトレーニングコース(全4回)を開催しました。第1回目では、「研究とは」、「概念とは」、「理論とは」、「投稿論文の書き方」を、第2回目では、「リサーチクエスション」、「理論の援用」、「概念図の書き方」を、第3回目では、「理論の探し方」を解説しました。また、上記の講義に加えて、参加者には毎回、宿題に取り組んでいただき、提出物に対して講師2名のコメントをお送りしてフィードバックを実施しました。最終の第4回目では、参加者自身の研究におけるリサーチクエスションや概念図、理論の援用を宿題として事前に考えていただいて、当日はその内容を一人一人が発表し、講師がコメントしました。今回のトレーニングコースを修了した参加者の皆様(海外からご参加いただいた方を含む)からは、様々な嬉しいお言葉をいただいておりまして、本企画の目的を達成することができたのではないかと感じています。今後につきましては、今春(2021年春)に、トレーニングコースで学んだ内容を基にした参加者の研究発表会を実施します。また、2021年の秋には同内容のトレーニングコースを開催する予定ですので、大学院生・若手研究者の皆さんのご参加をお待ちしております。

≪ECRトレーニングコース参加者の声(抜粋)≫
◆今回の ECRトレーニングコースでは、人に恵まれ、かなり有意義な時間を過ごせました。それによって得られた心得が2つあります。まず、参加する前に、大学院で本当にやりたい研究をできるかについてよくわかっていなくて不安だったのです。しかし、親身にサポートしてくださる藤本先生と大平先生のおかげで、初めて研究は楽しんでやれるものだという認識ができて、研究への理解を一層深くなりました。講義でも宿題のコメントでも、いつも先生の方々から貴重な助言をいただいて大変参考になりました。それを通して、自分のやりたい研究のロジックの整理と理論の使い方、または簡潔に自分の研究をアピールできる仕方が鍛えられてきて良かったと思います。毎回のトレーニングを参加するのが楽しみでした!

◆概念と理論の違いの整理ができたこと。これまで、概念を見つけることができても、理論をどう援用するのかがわからなかったのですが、理論を概念と概念の関係性であるとわかりやすく説明があったので、理論を見つけるヒントになりました

◆何といっても藤本先生から「研究」「概念」「理論」に関する捉え方や考え方を教えていただいたことに感謝しています。基本的かつ重要でありながら、残念ながら大学院では学ぶことができなかった内容です。私は社会人学生として大学院に通い3年目ですが、もし初年度にこのあたりの考え方を身につけていたら…と思わざるをえません。企業活動においても論理的な思考は必要ですが、アカデミックな思考とは全く異なるため、まさに本コースで学ぶ内容こそが、私たち社会人学生にとって有用と考えています。会社生活に完全に復帰した後でも、時間を見つけて論文投稿にチャレンジするつもりですので、先生から学んだことを活かしていきたいと思います。

◆特に、理論に基づいて概念間の関係を論理的に説明することが非常に重要なことだと感じました。

◆修士課程(MBA)在籍中も、リサーチ・クエスチョンの設定の仕方、理論の大切さは、授業であったり、指導教官より指摘されてきました。しかし、具体的にどう大切なのかを理解せずこれまできました。特に、社会人修士課程(MBA)は、授業をこなすだけで精一杯なところがあり、研究としての要点を追求できていなかったのだと思います。今回、概念、理論についての藤本先生、大平先生の授業はとても勉強になりました。研究を今後続けていくための基礎であり、どういう研究を進めていくのか、定性・定量に関わらず、抑えておかなければならない点でした。ちなみに、授業終了後、修士課程の同期と会った時にこのトレーニングコースのすばらしさを説明してしまったくらいです。

◆研究領域の異なるメンバー間であっても,研究を進めるうえではずしてはいけないことは共通であり,またわかりやすく説明することの重要性を認識できた授業形式でした。理論の問題点の指摘,理論の発展,理論の援用や統合,そのようなループで研究が進展していくことを再認識できました。

◆個人的に特に勉強になったのは、大平先生の概念図の書き方(意外と、同じ論文でも参加者によって考え方が違うというのが興味深かったです)、藤本先生の内発的モチベーション理論を援用した仮説の立て方の部分でした。いずれも、具体例を使いかみ砕いてご説明頂いたので、頭で何となく分かったつもりになっているだけではなく、実際の当てはめ、を体感することができました。

◆リサーチ・クエスチョンの立て方、理論の援用の仕方、概念とは、理論とは…、いずれも、研究活動の基本でありながら、また、心の中で疑問に感じながらも、今さら人には聞けず、どのように考えたらよいのか、問題解決ができずにいた事柄について、かなり答えを得る事ができて、ひとまず、安心をしております。これからは、学んだ事柄を基盤として、思考活動のトレーニングを重ねていきたいと思います。また、共に意欲的に学ぶ仲間、同志を得たことは大変、心強く明るい気持ちになりましたし、「もし分からないことがあったら、何でも質問していいですよ」と仰ってくださる藤本先生、大平先生がいらっしゃることだけでも心強く感じてます。

◆学会では、なかなか見られない趣旨の企画でしたので、今回参加させて頂けたことをとても有難く感じています。ECRトレーニングコースへの参加は、自分自身にとって、とても充実した時間でしたが、身の回りの研究者間でこういった議論がまだ十分に行うことができない(つまりタイムリーな話題のデータを取ってみて、探索的に分析を行い、当てはまりの良い結果ベースの議論がなされがちに思える)現状にあることにも気づきました。

◆社会人として大学院に入学して、修士から現在は博士課程で学んでいますが、「理論・概念」についてこのようにしっかり教わったことはありませんでしたので、今回、藤本先生・大平先生から理論の重要性(理論のない論文が多いことには驚きました)とともに、《問いとテーマ、RQ、概念、理論…》などわかりやすく教えていただき、勉強させていただきました。宿題にあたっては、その都度自分の考えを整理する時間となり、宿題に対する藤本先生・大平先生のコメントも有難く、励みになりました。他の参加者へのコメントも参考になるものでした。また、《投稿論文の書き方から理論の探し方、査読、海外文献、SSJ…》など研究にかかる貴重な情報までいただき、ぜひ役立てたいと思いました。

◆学会を活性化する上で、今回のような「研究の枠組み」を指導する機会を設けることは、非常に有益であったと感じます。特に、トレーニングコースの中での受講者のやり取りを聞いていますと、研究者としての志が強くとも、大学院を修了してしまった社会人研究者は、なかなか指導を受ける機会にもめぐまれておらず、トレーニングコースの場を活用したいという強い意志を感じました。日本における研究者育成において、非常に有益な場となったと感じます。また、いち研究者の立場からは、意識の高い若手研究者が集まることができるこのような機会は、相互の良い刺激になりました。

◆まだMBA修士在学中の身にも関わらず、査読に挑戦するという無謀とも言える試みを指導教員から提案され、研究のイロハもわからない状態で参加させていただきました。貴学会のこのような取り組みについて、同大学院のみならず、他大学院の友人とも、その素晴らしさについてお話しいたしました。研究のお作法に関しては、全くの勉強不足であるにも関わらず、私のようなものに、両先生から温かい目でご指導をいただけたことを本当に感謝しております。


◆今回のコースで、やっと「研究についてのスタートラインを知った」というステータスに行けたと感じています。これまでは教科書や解説書等で、研究に関する色々な情報を見聞きしていたものの、具体的にどう進めることが研究の基本なのか、自信が無いまま、浮足立った状態でいました。今回のコースを通じて、初めて一本の軸を持って色々な情報を位置づけることができ、同時にこれまで自分の中でうんうん考えていた(つもりの)内容に何が足らなかったのか、俯瞰して見られるようになりました。あらためて、このような機会をいただけたことには、感謝しかありません。本当にありがとうございました。

参加者の集合写真

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