経営行動科学学会(JAAS:The Japanese Association of Administrative Science)

経営行動科学学会(JAAS) マイページログイン
ホームニュース ニューズレター › 2015年度経営行動科学学会ニューズレター

ニューズレター

NEWS LETTER

2015年度経営行動科学学会ニューズレター

ニューズレター発行につきまして

◆広報委員 中西 晶・千田 直毅
学会員の皆様、平素より学会活動にご協力いただき、ありがとうございます。
2015年年度のニューズレターをお送りいたします。

内容は下記の通りです。

1.JAAS2015年度年次大会総括(於:愛知大学)
愛知大学大学院経営学研究科教授・筑波大学名誉教授 星野 靖雄(第18回年次大会 運営委員会委員長)

2.JAAS東日本部会報告
学習院大学 竹内 倫和(経営行動科学学会理事)

3.JAAS西日本部会報告
同志社大学 藤本 哲史(経営行動科学学会理事)

4.学会賞受賞の声
・第13回学会賞(研究奨励賞)
「職場不作法が被害者の対人・組織逸脱行動,および感情的ウェルビーイングへ及ぼす影響―対人ユーモアスタイルの交互作用―」経営行動科学、27巻、3号、2015年2月
日本大学 櫻井 研司氏

・大会優秀賞(研究発表部門)
「日本の職場で働く外国人従業員の定着と活躍に向けて─外国人従業員の離職意図と援助行動の要因分析─」
大阪大学 関口 倫紀/安川 小春氏

・大会優秀賞(事例発表部門) 「日本企業外国子会社における人事国際化の現状と課題」
大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程 牧美 喜男氏

5.「経営行動科学学会賞(JAAS Award)への推薦・自薦をお願いします」
愛知大学大学院経営学研究科教授・筑波大学名誉教授 星野 靖雄(経営行動科学学会会長)

[1]JAAS2015年度年次大会総括(於:愛知大学)

◆愛知大学大学院経営学研究科教授・筑波大学名誉教授 星野靖雄(経営行動科学学会会長)

経営行動科学学会第18回年次大会の総括

2016年2月20日
第18回年次大会運営委員会委員長

愛知大学大学院経営学研究科教授・筑波大学名誉教授 星野靖雄

第18回年次大会の開催日は、第17回の一橋大学では2014年11月8-9日の土日であり、当初の予定では2015年11月7-8日を予定していたのであるが、開催場所を提供している大学の都合により2015年11月14-15日となった。予備的予約をしていた愛知県産業労働センター(ウインク愛知)では約70万円の費用がかかるため、無料で使用ができる愛知大学になったわけである。また、第17回年次大会運営委員会が大会後実施したアンケート調査(※1)では、非常勤研究者より懇親会の参加費を安くしてほしいという自由回答があった。そこで、懇親会3,000円、参加費4,000円と前回の各々6割くらいに減額した。また、発表時間が30分、質疑応答が10分の計40分で長すぎるというご意見に対して、今回は、各々20分、10分と計30分に短縮した。さらに、従来プロシーディングは紙による分量が多くなりすぎるので1論文6頁の制約があったが、第8回大会以前の無制限にし、紙ベースでなくDVDで参加者に配布した。ただし、この変更が十分には伝わらなかった面もあるかもしれないが6頁で提出された方が何件かあった。さらに、学会の国際化を図るため、参加費は従来の郵便の振替口座を利用せず、Paypal(ペイパル)、クレジットカードか銀行の口座を利用した。従来、協賛金を10社くらいにお願いしていたのであるが、その労力と協賛額、および、もし協賛を募るのなら経営行動科学誌にすべきとの考えで、論文集への協賛金とそれに伴う企業広告を見合わせた、その代わり、愛知大学と外部の財団へ補助金を依頼した。結果は、各種費用の減額に努力したことにより、大学、財団からの補助金は使用せずに返還できた。

海外からの年次大会への参加者を募るのに国際的な学会案内のプラットフォームであるConference Alertに学会のCall for Paper を無料で掲載した。これによりタイからの参加者等が応募したが、渡航費等の補助が得られないことがわかった。そこで彼の発表はSkypeにより実施した。事前の調整はいったが、全く問題なく発表、質疑を行えた。

第18回年次大会では、シンポジウム、基調講演各1件、特別講演2件であり、論文発表47件をいれてちょうど50件であった。例年より若干件数が減少している。その原因として、論文発表でも完成原稿を要求し、発表論文等の運営委員会によるスクリーニングとフィードバックによる再提出があったこと、愛知大学の本学会会員が実質的に1人しかいなかったことが考えられる。

本年次大会での基調講演としてAcademy of International Business(※2)(58年の歴史と会員86か国3,187人)の日本人初めての次期会長である小田部正明テンプル大学教授による「変遷する競争優位のパラダイム:観察と憶測」、河村たかし名古屋市長による「庶民革命」の特別講演は特筆に値する。さらに、大会優秀賞として研究発表部門では、関口倫紀、安川小春両氏による「日本の職場で働く外国人従業員の定着と活躍に向けて─外国人従業員の離職意図と援助行動の要因分析─」、事例発表部門では、牧 美喜男氏による「日本企業外国子会社における人事国際化の現状と課題」が表彰されたことは、前年度0件であったことを考慮すると有意義な年次大会であった。


※1 経営行動科学学会第17回年次大会運営委員会(2014) 経営行動科学学会第17回年次大会 アンケート集計結果、11月21日。
※2 Academy of International Business(2015) https://aib.msu.edu/ 2月22日。

[2]JAAS東日本部会報告

◆学習院大学 竹内 倫和(経営行動科学学会理事)

東日本部会報告

2015年12月19日(土)に、学習院大学において「グローバル化における労使関係・人材育成」というテーマのもと、東日本部会を開催致しました。

(公財)中部産業・労働政策研究会(中部産政研)の専務理事兼事務局長である小木曽一郎氏を講師としてお招きし、グローバル化における労使関係及び人材育成に関する中部産政研の取り組みや、小木曽氏自身の豊富な海外駐在経験を踏まえた貴重なお話を頂戴致しました。そのお話を踏まえ、コメンテーターとしてお招きした内野崇先生(学習院大学教授)からは、グローバル人材育成の要諦及び課題について学術的な視点に基づくコメントを頂きました。

今回は、講演の中でケーススタディなどが取り入れられ、参加者の方々とのインタラクティブな講演研究会になりました。2時間という時間でしたが、アットホームな雰囲気の中、参加者の方々からも多くの意見が出され、結果的に時間を延長して非常に活発な議論が行われました。盛会に終わったことを企画者として嬉しく思っております。最後に、小木曽氏、内野先生、ご参加頂いた皆様にこの場をお借りして厚くお礼申し上げます。

東日本部会長 竹内 倫和(学習院大学)

[3]JAAS西日本部会報告

◆同志社大学 藤本 哲史(経営行動科学学会理事)

西日本部会報告

研究会開催報告
テーマ:「BOPからの破壊的イノベーション: 新興国発多国籍企業による成長アプローチ」
(Disruptive innovation from the bottom of the pyramid as the effective approach to catching up and leapfrogging by emerging MNEs.)

講演者:Professor Peter Ping Li(Copenhagen Business School)
司会・コメンテーター:関口 倫紀 先生(大阪大学)
開催日時:平成27年7月14日、15:00~17:15

2015年7月14日に大阪大学の関口倫紀先生のご尽力によりCopenhagen Business School のPeter Ping Li 先生をお招きし研究会が開催されました(於 大阪大学豊中キャンパス、共催 大阪大学大学院経済学研究科・経営研究会、 経営行動科学学会国際学術交流)。Peter Ping Li先生は新興国発多国籍企業に関するご研究で世界的に注目を集める研究者で、今回の研究会では新興国発多国籍企業が先進国の多国籍企業にキャッチアップし、さらに追い越していく際の効果的なアプローチと考えられる「BOP(Bottom of the Pyramid)からの破壊的イノベーション」の役割、および国際経営分野における新たな理論構築の可能性についてご講演いただきました。平日の研究会であったにもかかわらず20名(学会員5名、非学会員15名)の方々にご参加いただき、活発な質疑応答、意見交換が行われました。質疑応答では英語、日本語、中国語が飛び交う興味深いインターアクションも見られ、大変刺激的な研究会となりました。

西日本部会長 藤本 哲史(同志社大学)

[4]学会賞受賞の声

◆第13回学会賞(研究奨励賞)
「職場不作法が被害者の対人・組織逸脱行動,および感情的ウェルビーイングへ及ぼす影響―対人ユーモアスタイルの交互作用―」経営行動科学、27巻、3号、2015年2月日本大学 櫻井 研司氏

このたびは、研究奨励賞という大変ありがたい賞を賜り幸甚です。 書面上で恐縮ですが、本研究を御推挙してくださった先生方、また本研究に協力していただいた多くの方々に御礼申し上げます。

本研究のテーマである「職場不作法」とは、職場で起こる比較的軽度の対人攻撃です。 職場の対人攻撃と言うと、従来の組織研究で関心を集めてきたのは暴力、性的ハラスメント、パワーハラスメントといった攻撃の度合いが高い行為でした。 しかしこれらの加害行為は、法令や組織の行動規定等に抵触する可能性を有することから、実際に起こる頻度は低いことが知られています。一方、職場不作法のように比較的軽度な対人攻撃は、統制する法令や規定が無いことから加害者への責任追及が難しく、またそう認識する被害者自身も泣き寝入りする傾向があることから、起こる頻度と継続性が特に高い対人攻撃であると考えられています。

実際私が2013年に実施した調査においても、職場不作法が起こる頻度は、暴力やパワーハラスメントと比較して最も高い傾向がありました。 また、全国の労働基準監督署に寄せられるいじめや嫌がらせの相談内容を分析してみると、暴力・暴言・性的嫌がらせを含まない比較的軽度の対人攻撃、つまり職場不作法と考えられる対人攻撃の相談件数が極めて多いことが分かります。 労働政策研究所の調査報告書によると、 このような比較的軽度の対人攻撃が裁判に上がってくることは稀なものの、被害者にとっては深刻なストレス要因として作用し、精神不全につながっている事案も少なからずあります。

職場不作法という対人攻撃の概念が、田中堅一郎先生によって日本に紹介されてから10年近くが経過しますが、実証研究の数が極めて少ないことを常々残念に感じておりました。しかしこのたび研究奨励賞を頂き、今後の職場不作法の研究を展開していくうえで大きな励ましを受けました。 今後とも、諸先生方からのご指導ご鞭撻を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

日本大学 経済学部
櫻井 研司

◆大会優秀賞(研究発表部門)
「日本の職場で働く外国人従業員の定着と活躍に向けて─外国人従業員の離職意図と援助行動の要因分析─」大阪大学 関口倫紀/安川小春氏

この度は大変素晴らしい賞を受賞することができ、まことに光栄です。

この論文は、外国人従業員を日本の職場に定着させることは簡単ではなく、その理由には日本の組織や職場がもつ独特の特徴が関係すると思われる が、実際に外国人従業員を対象にした実証研究が十分ではないという問題意識に基づいて安川が作成した修士論文の内容および収集されたデータをベースに、関 口がデータの再分析と理論および仮説の強化を図り、新たな論文として発表したものです。データ収集にご協力いただいた日本の職場で働く外国人の皆様およ び、自社内の外国人従業員にアンケート調査への協力依頼を仰いでいただきました日本人の皆様に、心より感謝申し上げます。

日本企業にとって、国内拠点・海外拠点を問わず外国人従業員の活躍を促進することは、重要なトピックだと思います。国内に限って言えば、様々 な国から優秀な留学生も来ておりますし、その数も増えてきておりますので、どのようにして彼らをつなぎとめ、活躍してもらうかということについて考えるこ とは、今後より一層求められることだと思います。データ収集の際には、アンケート調査への協力依頼を承諾してくれた方々から、自分が働く会社にとっても興 味深い研究だという反応を複数いただきました。やはり外国人従業員を会社に留め、いかに活躍してもらうかという問題は、企業に勤める多くの方が実際に直面 している問題なのではないでしょうか。

従って、今回の受賞により、このようなリサーチトピックの重要性が認識されたことを大変嬉しく思います。しかしながら、調査項目や調査方法等において改善すべき点も多いため、引き続き、今回のテーマにおいて学術的・実務的に貢献する研究に励みたいと思います。

関口倫紀、安川 小春

◆大会優秀賞(事例発表部門)
「日本企業外国子会社における人事国際化の現状と課題」大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程 牧美 喜男氏

この度は大会優秀賞を賜りまして誠にありがとうございます。監査法人のパートナーとして定年を迎えた後、日本企業での外国人雇用をテーマにして研究生活に入りました。日本企業の国際人的資源管理研究の先行研究では、海外子会社における日本人主体の運営が描写されてきました。日本人中心の運営は、日本本社での品質や生産性を海外工場で維持する上では不可欠な要素であり、曖昧なコミュニケーションや現地国籍人材の登用の遅れなどの消極的な側面を相殺する成果をもたらしてきたと考えられます。

本論文作成の動機は、従来の日本企業の国際人的資源管理に関する先行研究が、多くの日本企業が目指している本社国際化と一体になった「マネジメントの国際化」の動きを捉えていない可能性があると考えたためです。それに基づき、「マネジメントの国際化」時代に対応するために、日本企業競争力の源泉となった集団主義的な労務慣行は変更されるのか、現地国籍人材の登用状況に変化がないのか、また先行研究で批判されてきたコミュニケーションの問題状況はどうなっているのかなどを調査しました。

本研究の貢献として、以下の諸点をあげる事が出来ます。現地国籍人材は、各社の経営方針に従い漸進的あるいは急進的に登用されており、その動きは本社国際化と連動しています。また、海外子会社におけるコミュニケーションの問題が克服またはその兆候が見られます。このような改善は、経営現地化による現地国籍人材の登用や本社国際化と軌を一にしていることを観察しました。また製造現場ではジョブ・ローテーションを実施しているものの、営業や管理などでは実施してしないなど先行研究で指摘されているハイ・ブリッド的色彩も確認されました。以上の観察から、今後日本企業は、日本的労務慣行を残しつつ、本社国際化により海外子会社との距離が接近し、外国人と日本人の分業から協業に移行していくのではないかと推測します。

論文を進めていく上で数々のアドバイスを頂いた指導教授の関口先生、有意義なアドバイスをいただきました先生方、データ収集でご協力いただきました企業の皆様、および選考に関わっていただきました先生方に心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みとして、全球的なビジネス競争時代に突入した日本企業の新たな対応について今後も学術と実務の双方に貢献しうる研究成果を目指して精進していきたいと考えております。今後とも諸先生方からのご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程 牧 美喜男

[5]経営行動科学学会賞(JAAS Award)への推薦・自薦をお願いします

◆「経営行動科学学会賞(JAAS Award)への推薦・自薦をお願いします」
星野靖雄(経営行動科学学会会長)

経営行動科学学会では、人間と組織の最適な相互関係のあり方を追求する経営行動科学 に関する実証的・科学的な調査研究を奨励し、経営における行動主体の活動に関するす べての分野の知識と理解を深めることを目的として学会賞を設置しています。

対象者・対象著作
会員が著者、共著者または編著者となった学会誌『経営行動科学』および他の学術雑誌に掲載された論文、および著書を学会賞の対象とします。対象となる著作物は、審査の 対象となる1年間(当該年度の1年前の4月から当該年の3月末日まで)に発表されたもの とします。
優秀研究賞および優秀事例賞については、連名の研究は会員以外の共著者を含む全員を表彰の対象とします。奨励研究賞はファーストオーサーになっている会員 を対象者とし ます。または功労賞、特別功労賞、社会貢献賞として会員に限らず社会及び本学会に多 大な貢献をした人物を表彰します。

推薦・自薦の締め切りは6月末日です。推薦書のフォーマットや提出先、その他詳細は、 学会ホームページの「JAAS Award」および「学会規約等」の内規第15条をご覧ください。

ページの先頭へ
ページの先頭へ